お山、蜂蜜、きんぴらごぼう

2歳のおしゃべりが上達し続けている。ダイソンもびっくりの吸引力で言葉をインプットし、マシンガンのようにアウトプットする。赤ちゃんにはたくさん話しかけて、言葉のシャワーを浴びせよう!的なことは産後よく言われるが、今やこちらがビショ濡れになっている。マシンガンの例えで最後までいこうとしたら、今やこちらが蜂の巣になっている、となって不穏だったからやめた。

 

最近は「朝、パンとコーンフレークどっちがいい?」と聞くと「コーンフレークでお願いしまーす!」と元気に答えてくれる。模範解答すぎて逆に困惑する。日本語の教科書か?わたしと夫の会話から学んだとは思えない、というか夫に朝食の選択権はない。「〇〇でお願いします」そんな言ってる?別にいい、もちろんいいけど困惑はしている。

 

でもまだ発音の方は大人と同じようにはいかないので、こちらが注意深く聞いているからこそ伝わる、というシーンも多い。そして、どんだけ聞いてもわからないシーンもままある。

言っていることが伝わらないとき、子どもはどうなるか?きっと子どもによって千差万別なんだろうけど、うちの子は諦めずに言いたいことを言い募り、最終的にキレるタイプだ。だから子が何か言って、なに?とこちらが聞き返す、それを2往復したあたりからはわたしの中では導火線がバチバチと音を立てながら短くなっていく。何回言っても伝わらないと「なんも言ってなあーい!」と爆発して暴れるから毎度こっちも真剣である。

 

先日、子がニコニコしながら言いたい何かがわたしには「たけのこばこ」としか聞こえず、「たけのこの?さけのこばこ?」とか散々やってもわからず「ちがう!ちがーう!」とキレられて撃沈した。そして半日経った頃また「たけのこばこ」だけを言われる。ヒントが無さすぎる。TOEIC並みの集中力でリスニングしたところ

 

「たけのこばk

 

これどうやら最後は「こ」じゃなくてkそこから遂にたどり着いたのが

 

「車検のコバック」

だった。

その場ではこっちも感動してるので「車検のコバックだったか〜!」と叫んで2歳と熱い抱擁を交わす。そして夜になって「何が?」と冷静になる。

 

奇跡の正解を出すこともある。車検のコバック事件の翌日、お風呂にて「今日アンパンマンを探せで、つみきのこ見つけたの」と言われる。アンパンマンを探せ、と言うのは幼児向けのウォーリーを探せ的な絵本だ。つみきのこ=つみきまんのことだろうと「つみきまん見つけたねー」と言ったら「つみきまんじゃない」と言われた時の緊張感。「つみきまんじゃないの」「ちがう」「もう一回言って」「つみきのこ」バチバチバチバチ頭の中でアンパンマンのキャラクターを総ざらいしようにも、多過ぎて無理。つみきのこ、つみきのこっぽい名前

 

チビケロくん?」「チビケロくん(ニコ)」

 

20231番の好プレーであった。なお後から調べたところ、アンパンマンのキャラクターは現在2,300体以上いるらしい。

 

この競技の難しいところは(競技?)、子どもの記憶に何が引っ掛かるか、大人には予想し得ないところだ。大人で車検のコバックのCMを心に留めているのは、近日車検を受けたい人かはなわ氏のファンだけだ。アンパンマンキャラクターの中から「チビケロくん」だけにフォーカスする人もいない。いないでしょ。知らなかったでしょチビケロくん。オタマジャクシなんだよ。カエルじゃないのかよ、という衝撃。

 

こういう、大人が意識の外に捨てていってるものを、子どもは捨てずに持っていて、忘れた頃に見せてくる。大人にとってはゴミでも、子どもにとっては宝物なんだねっ!とかキラキラしたことは全く思わない。けれど、ああ、大人には必要ないものだけど、ゴミでもないんだな。そう思って感心するし、愛おしい。この子の前には全てが平等だ。現に今日も、お菓子で汚れた自分の手を拭こうとおしりふきを探しながら「おしりふきないねぇ、でもママはいる」と言っていた。ママおしりふきと並列に語られたことって今まで無かったから、本当にびっくりしたよ。

 

結論、2歳のおしゃべりはかわいい。数日前、キッチンで人参を切っていたら「きりんぱろぼ作ってるの」と言われた。派手なキリンのロボットが脳裏を駆け抜けて行った後、思わずニヤニヤしながら「きりんぱロボ?」と聞き返す。その反応で、正しく言えていないことが本人もわかるのだろう、はにかみながら「きりんぱロボじゃない」と言い残してどこかへ行ってしまった。わたしはもうこの先の人生で、これを作るたびにきりんぱロボに言及して、子にウザがられるのだろう。わたしの母も事あるごとに「おまにゃ」「はちむ」の話をしていた。本当に、親ってやつは。それにしてもきりんぱロボ、毎回作った後「なんかすごい量できたな」となるのは何故なのか。食べるからいいけど。